SDGsの取組み
持続可能な開発目標(SDGs)とは
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会を作るために世界各国が合意した17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
笠原木材がSDGsに取組む背景
- 日本の山には、成長して利用されるのを待っている木がたくさんあります。その量は50億㎥とも60億㎥ともいわれています。日本人が国全体で使う木材(紙製品も原料の木材に換算して)の量が約7000万㎥といわれていますので、その蓄積量の多さに驚きます。また、それらの木材は毎年成長しています。山の木を放置しておくと、やがては枯れて炭素を放出しながら朽ちていきます。
- 木材は、「伐ったら植える。または、伐ったら自然に出てきた木の芽を育てる」という原則を守れば、太陽の光の力を借りて、光合成を繰り返し成長し、50年、60年かけて建築材料に使える大きさになります。大きなサイクルで「再生」しているのが木材です。木材は人が持続的に利用できる資源だということができます。
- 木材以外の原材料は、再生することが難しいものばかりです。石油の再生はほぼ不可能です。鉄やアルミニウムなどの金属は再生が可能とされていますが、その再生のためには莫大なエネルギーを必要とします。
- 木材が成長していく量を超えない範囲で、木材を使うことが地球環境には最も負荷をかけない、という考え方が世界で広がっているのは、このような理由からです。
笠原木材の仕事とSDGs
私たち笠原木材㈱は、1958年に木材を扱う会社として創業しました。
山で木を伐る仕事、木材を仕入れてお客様に届ける仕事に加えて、製材や製紙用のチップをつくる仕事を進めてきました。
1988年に木材をふんだんに使った木造住宅をつくる仕事を始めました。
当時は、「新建材」といわれる、人工的につくられた建築材料が全盛の時代でしたが、私たちは「自然のままの木材」を使う家づくりを進めました。自然のままの材料を使うことが、お客様にも、環境にもいいだろう、と思ったからです。それは直観的な思いでした。
その後、「新建材」に使われている化学物質のいくつかが、実は人に害を与えるものであったり、焼却処理をしたときに有害な物質を発生されるということがわかってきました。シックハウス(sick house)が社会的な問題にもなりました。研究開発によって「新建材」の改良は進んでいますが、私たちの住宅には「自然素材」を使うことを基本にしています。
2015年に、バイオマス発電用のチップの本格的な生産を開始、その後、オーストリアのKWB社のバイオマスボイラーの正規代理店となりバイオマスボイラーの販売・設置を始めました。
SDGsを知ったとき、大きな勇気と誇りをいただくことができた、と感じました。
私たちの仕事や考え方が、あまりにも緊密にSDGsにつながっていたからです。
私たちの使命は、木材をとことん生かして、森を守り、人と社会に貢献することだと考えています。
これからも、お客様、協力業者の組織「かさはら会」のメンバー、さらには地域をはじめ、広い分野の多くの皆様と共働しながら、自分たちの仕事をきちんと続けることで、SDGsの理念・目標を目指し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
1.未来へ責任をもってつなぐ山林経営で森を守ります
「伐ったら植える。植えたら育てる」を実践します。「森林経営計画」を策定します
森林の持続可能な経営を実施するために、自社の森林施業プランナーが主体となり、行政や関連する団体と共同して「森林経営計画」を策定して伐採を行います。
安全を最優先した上で、効率的な作業を実施します
作業の安全に関する知識や危険予知能力の向上のための教育、防具などの装着を徹底します。
PDCAを実行し生産性の向上に努めます。生産性の向上は、山にお金を還元することにもつながります。
技術を継承し、雇用の創出をします
当社には、山を見て資源量を量る能力を有する技術者、架線集材技術を有する技術者が在籍しています。その技術を若手技術者に伝承するとともに、育成のために教育投資を行います。誰でも安心して働けるように職場環境を整えます。
2.利用されてこなかった未利用木材の有効利用を推進します
未利用木材をチップにして有効に使います
伐られたまま山に捨てられ放置されている木材や、建物の解体木材などが行き場を失っています。
当社は、そういった木材をチップにして、紙の原料やバイオマス燃料に有効利用することに努めています。
再生可能エネルギー「バイオマス」の推進
とくに未利用木材の「バイオマス燃料」への利用は、化石燃料の使用量を削減することになり、地球温暖化防止対策のひとつとして注目されています。
当社は2015年にオーストリア製の「移動式切削チッパー機」を採用して、バイオマス発電用のチップの本格的な生産を開始しています。
バイオマスボイラーの普及を推進
バイオマス燃料の利用を広めていくために、当社は、2016年にオーストリアのKWB社のバイオマスボイラーの正規代理店となりバイオマスボイラーの販売・設置を開始。今後も取り組んでいます。
3.地元の木と高い技術で、永く住み続けられる住宅を提供していきます
地元の木を使う。国産材利用100%
飛騨は、全国的にも優良な木材の産地です。
戦後、先輩たちが「植林」をしてくださったヒノキや杉が成長して、今「使い頃」を迎えています。
また、地元の木を使うことは、運送などのエネルギーを抑えることになり、環境への負荷を小さくすることができます。
地元の木を使うことで、山の元気を取り戻し、地域経済の活性化につながります。
「飛騨の匠」の技が発揮できる家づくりを
6世紀には「飛騨の匠」が都造りに活躍していたとされています。
現在にも受け継がれた、木への知見と加工技術を家づくりに生かしていきます。
また、海外への技術普及も見据えて、技術の伝承後継者の育成に努めています。
高い耐震性能と、劣化の軽減対策を施し高い耐久性能を実現します
耐震性能は、品確法の最高等級である「耐震等級3」を実現します。
また、躯体部分の劣化を食い止め耐久性を高めるために、「通気層」の設置によって空気の淀みを取り除きます。 点検口の設置により、床下や天井裏の目視による点検を可能にします。
より長く、より安心に暮らせる住環境づくりを実現していきます。
4.自然素材へのこだわりと、エネルギー消費に配慮した家づくりをします
自然素材を使います
住宅には様々な材料が使われます。その中で、『人にやさしい、環境にやさしい、自然に還る』素材選びに取り組んでいます。
また、国産材を使った無垢の壁・床材や、珪藻土、シラスなどの土壁、紙素材の壁材などの自然素材を使うことで、調湿や消臭の効果を得られることや、身体へのストレス負荷を軽減することがわかってきています。
効率的なエネルギー利用に配慮し、お財布にも優しく
住家の断熱性能が高いと、生涯にわたるエネルギーの利用量やコストが低くなります。
将来にわたってのエネルギー費用(光熱費、メンテナンスコスト等)を前もって計算して、断熱性能を高くした場合の費用との比較を行い、より合理的なな外皮計画を提案します。
身体にも地球にも優しい
家の中の寒暖差を少なくし、ヒートショックなどのリスクを抑えることも重要です。
また、「薪」ストーブの利用も提案しています。寒いとき「薪」の炎を楽しみながら暖をとっていただきたい、との願いがあるからです。
また、「薪」は再生可能なエネルギーですので、環境負荷も小さいことがメリットです。
5.便利さだけを追求しない、自然と調和したライフスタイルの提案をします
木育で木の良さを伝える
暮らしの中で、楽しみながらゆとりを感じていただくために「ひと手間を楽しむ暮らし」をご提案しています。
季節の移り変わりの中で、自然や伝統行事との触れ合いを体感していただくために、毎年「薪割り体験」「木工教室」「花もちづくり」等のイベントを開催しています。また、学校・児童館等でも同様にクラブ活動の支援を行っています。
食育で生きる強さを育てる
住まいと切り離せない「食」についても、「ひと手間を楽しむ暮らし」のお役にも立てないだろうかと考えて、「味噌づくり体験」「糀づくり・醤油づくり体験」「おうちパン教室」「キムチづくり体験」など、食に関する様々なワークショップを開催しています。
ワークショップへの参加を通じて、「食」づくりの楽しさを体験していただきながら、「つくるおいしさ」を味わっていただきます。これは「生きる力」を養うことにもつながります。
6.さまざまなパートナーシップの経験を共有して周りの人たちと共働します
『かさはら会』と共に
「かさはら会」は、当社の家づくりを支えている職人さんと協力業者によってつくられている会です。
会員個々の経験や専門知識に基づいた情報交換会や、研修会を開催して、家づくりの最新技術、安全対策やマナー等を学ぶ活動を行っています。
地域に根ざした住環境の拠点「飛騨高山森のエコハウス」の活動に積極的にかかわっています
「森のエコハウス」は、地域の環境情報の発信拠点です。様々なワークショップが開催できる場所として、飛騨の豊かな木材で「飛騨の匠」の技によって建てられました。毎年、秋に開催される「エコハウス祭り」のほか、毎月、「森のワークショップ」が開催され、様々な環境に関する情報が発信されています。家族やグループでの利用が可能です。当社は、エコハウスの活動と、建物の維持管理に積極的に参加していています。
県内と全国でのパートナーシップ
岐阜県内では「ぎふの木の住まい協議会」に参加しています。
「ぎふ性能表示材」を使って、木の家づくりを得意とする工務店が会員となり、県産材を使い、環境や人に優しい、安全・安心な木の住まいを推進。岐阜県の森林を守るため、一体となって取り組んでいます。全国組織の「JBN・全国工務店協会」加盟し、活動に参加しています。JBNは、「日本の木で、日本の技で、日本の家を造る」ことを信条として、地域の良好な住環境と木造建築物の整備に貢献することを目的に、全国の地域工務店のサポートをはじめ、国への政策提言などの活動をしています。
SDGs宣言
わたしたち笠原木材株式会社は、
木材をとことん活かす仕事を通じて、
森を守り、人と社会に貢献することによって
「持続可能な開発目標(SDGs)」
の実現に向かうことを宣言します。
2020年6月